2015年12月14日月曜日

『Bike in the sky』#11 あのペケエスが帰ってきたぜ・・・

こんにちは。

T‐PADDOCK630のタツミです。

はい!我が家のXS(ペケエス)が帰ってきてくれました。
と言うより退院したと言う方が正しいです。

11月14日、#6の入院した記事からおおよそ、ひと月ほどの入院でしたが
実は入院中、一度外泊許可がおりました。

それは、入院先の「凄腕バイク屋」のオヤジとXSの病状についていろいろ治療方針について
検討してました.
それまでトランジスター本体を交換したりコイルを変えてみたりと、いろいろ試した結果
4000rpm以上では強引に走らせる事は可能だがアイドリングが全く効かずで3000rpm以下では
片排になる事から、やはり最終的に「キャブだろう!?」となり、更に「スロー系のジェットが
怪しい!」との診断に行き着きました。

そこで、そのキャブについての治療方針は何通りかの案が出ました。
①現状のキャブを専門の業者に出してOH(オーバーホール)。
②スロージェットの番手を変える(上げるか、下げるか)
③凄腕バイク屋のスドコ(アメリカミクニ)製に換装。
④まったく別発想で吸気系チューンナップとしてFCRキャブを軸に換装・・・などなどです。

で、私はこの初期型XSの振動から考えて、「まず120km/h以上でガンガン走ることは
ないだろう」と思いました。
と言いますのも、この初期型XSの振動はメインスタンドを立ててエンジンをかけ
アクセルグリップを大きく一捻りすると「ドド~ン!!」と豪快な音と共にメインスタンドの位置が
後に20~30cm車体ごと「グッグッ・・・」と簡単にズレてしまうほど激しいモノなのです。

実際、100km/h辺りでハンドルを握っている手が痺れてくるほどの振動です。
しかし、中低速は当時のバーチカル空冷ツイン独特の”ドコドコ感”が気持ち良く、と言って
当時のW1ほどの走りのモッチャリ感ではありません。

やはり多少、XSのOHCに対してW1のOHVの影響なのかも・・・それと、このSOLEXキャブ
本来のポテンシャルがスコぶるレスポンスが良いからではと思います。

そのような理由から上記の①の策を講じようと、入院していたXSを再度トランポにて
退院させました。
そして、上のキャブを取り外した画像です。
ここで関西では有名な”山之内キャブレター”さんにOHをお願いしました。

山之内さんには以前にもCB750K0の4連キャブのOHでお世話になっており、その際の
K0のエンジンの安定感など、復活具合は身をもって体感してましたので信頼して出せました。

それから約一週間、OHからキャブが戻ってきました。

山之内さんから取付時の注意とセッティングのポイントなどを聞いておりましたので
そのポイントなどに従い取付、セッティングは完璧に行えたと・・・

さぁ、エンジンの始動です。

キーはオフのままキックアームを数回踏み下ろし、シリンダー内に少し混合気を吸込ませます。

次にピストンの上死点を探る感じでキックアームを軽くコンコンと蹴り上死点を見つけます。

そして、キーをオン!ニュートラルランプが点灯。

チョークを引き

左足はキック時に踏ん張れるようステップに土踏まずをフィットさせ

右足をキックアームにのせ

左足を軸にして腰を浮かせ

全体重をキックアームにのせ、一気に踏み下ろします。

ドド~ン、ドド~ン!!

と豪快な排気音がトライアンフのマフラーからガレージに響きわたる・・・

はずでしたが・・・

エンジンは一発でかかったのですが・・・悪夢です。

また、以前と同じ片側のマフラーから「パパ~ン、パンパン!!!」と火を噴きながらの
爆発音です。
それも、今度は右のマフラーからです。

「え~!なんでやねん!」の言葉しか出ない状態で、緊急の電話をOHした山之内さんに
掛けました。
すると、山之内さんも「あり得ない!」となり取付過程などなども説明して
「分かりました。再度しらべます。」と結局キャブだけを再度、山之内さんに預けることになりました。

ふつう、バイク屋さんでも専門業者さんでも、まず「変なことしませんでしたか?」と
素人扱いで我々が故障の原因と疑われます。
しかし、山之内さんは「すみませんでした。調べます。」と自身に「非がなかったか!?」と
いうところから入られます。

そこも私にとって信頼がおけるところかもしれません。

そして山之内さんから、「同型の使えるキャブがありますので、そのキャブでエンジンがかかるか
先にテストしてもらえますか?」と願ってもない申し出を頂きました。

そのような事情でXSは再度「凄腕バイク屋」に入院となり、お借りしたキャブを凄腕バイク屋で
装着。すると・・・エンジンはかかり、当初はちょっとバラついておりましたが、その内アイドリングも安定し、
やはり元のキャブの不具合と結論づけるに至りました。

その結果を山之内さんにもお伝えしたところ、山之内さんの方でも原因を掴んでいただいてました。
肝心の原因は、”弘法も筆の誤り”が如く、右キャブのスロージェットの僅かな加工ミスとの事でした。

次回の再OH後のキャブの装着は入院したバイク屋さんと山之内さん、私と三者そろった中で
となりました。

そして数日後の12月5日土曜午後4時!

全員が集まり、綺麗になったSOLEX ダイアフラム負圧式SUキャブの装着の時が訪れる。

30分ほどで装着完了。

さぁ、こんどこそ!
「ちゃんとかかってよ!」と私は心の中で祈る想い!

キックを、腰を入れて、一気に踏み下ろす。

ドド~ン! ドコドコ、 ドド~ン! ドッドッド! ドドドド! ドド~ン・・・
と、ちょっと落ち着きがないかかり方。

しかし、今回はキャブ専門の山之内さんも同席。

早速、山之内さんは左右のキャブのセッティングに入られ、まずスロットルスクリューで
アイドリングを安定させ、パイロット(エアー)スクリューで左右とも一番回転が上がる
ベストポイントを探るところで、少々手こずられて様子。

実はこのXSのSUキャブ!
パイロットスクリューのポイントが普通のキャブであれば先ず、スクリューを右に締め込んで
一旦全閉状態にして、そこから次は逆に戻すように1回~1回半ぐらい左に回した位置で
エンジンをかけ、そこから右に1/4回転づつ徐々に回しエアーを遮断させる様にして回転の上がるところを
探り、上がらなければ元の位置にスクリューを戻し、そこから次は左に同様に1/4回転づつ
徐々に回して再び回転の上がるところを探ります。

ここで普通は左右、多少の差はあっても、だいたいエアーを多くしても全閉から2~2回転半、
エアーを絞り込んでも1回転の辺りでベストポイントは見つかります。

ところが、XSの初期型は全閉から1/2回転が最初からベストポイントという異口同音の声を
耳にします。

この当該XSも同様ですが、左キャブはほぼ1/2でベストポイント!問題は右です。
山之内さんも手こずられてるように全閉にしても、また3回転以上戻してもベストポイントは
見つからず、その中でも全閉から1/4ぐらいのところで一旦落ち着かせ、様子を見ることに・・・

そこで、「凄腕バイク屋」のオヤジの登場!
「左右のプラグを新品に替えろ!」の一言!

今回の修理セッションの間、ほとんど一言も発していなかったオヤジが「プラグ変えろ!」
で初めての修理参加!

このオヤジさんは上述のコイル変えたりとかの際も、づっと修理の様子を見ながら、例えば
エンジンを再度かける時、キックを踏んで踏み下ろした辺りで「シュパッ・・」と強烈なケッチン
(エンジンがかからずキックアームが跳ね返ってくること!昔は足首が捻挫したり、骨折したり、
かかとやくるぶしの肉をエグッたりとけっして舐めてはいけない現象です。)がきた様子を観て、
「点火時期をちょっと遅らせろ!」と指示。

最初、円周360°で目分量約5°!そこから少しづつ戻し最終、1~2°時計と逆回りの位置で
落ち着く。

と言うように、このオヤジさんは故障の要因を絞り込む為にピンポイントで絞って行くのではなく
並行して故障の要因を探っていくという、経験値に裏付けされた技術的な勘がなかなかです。

そして、エンジンを再始動!

キック一発で「ドド~ン!ドド~ン!」

そして、「ドッ、ドッ、ドッ、ドッ・・・」と、やっと冷静さを取り戻したXS!

ここからアイドル状態が5分過ぎ、7分を過ぎ、10分経過まで1250rpm/mでピタッと針が止まってるかのように安定しました。

「まぁ、オッケーやろ!?」とバイク屋のオヤジ。
「ふむふむ!」と山之内さん。

ここでキャブにエアフィルターを着けて、近くを試乗!
軽く1kmぐらいだが特に問題なし。

という事で完全修理完了!所要時間約1時間少々!
山之内さん、凄腕バイク屋一同さん、お疲れ様でした。

で、下の退院した時の様子。
画像、左のトライアンフは以前、XSが入院した時に間もなく退院しますと書きましたが
「凄腕バイク屋」が居心地が良いのか、まだ家族のお迎えが無いままでした。
なぜ?なのか・・・疑問です。
そして、いよいよ退院!
この「凄腕バイク屋」から帰路は約20km。
この20kmが故障が直ったかどうかの、ひとつの壁で何回も20km手前でアウトになってました。

なので、一切のストレスもなく20kmが越えられるか・・・ドキドキで帰路につきました。

道中、けっこう信号待ちもありましたが停車時、アイドリングも1250rpm/mでピタッと安定。
そして、ストレートの中央環状線!
前方がクリアな状態!
後方の覆面、白バイを気に掛けながらトップギヤ4000rpm/mで一気に○○km/h!

まったくストレスなしに吹け上がり、気分上々(ちょっと古い表現ですが・・・)

そして、マイガレージまであと1km。
問題なし。
そして帰着しました。

早速、凄腕バイク屋さん、山之内さんにお礼の電話をかけました。
ほんとうにありがとうございました。

さぁ、明日はいつもの月ヶ瀬~針テラス~柳生の140㎞中距離テスト。

このインプレッションは次回で!

今回は、たかが「キャブの修理の様子を・・・」と思って記事にしましたが、ちょっと長文に
なりすぎました。
すみません。今後はもう少し短めに簡潔にお伝えしたいと思います。

では!

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