久しぶりにW1Sがトラブって・・・
ここ数年、たまにバッテリー周りの配線が経年で劣化し、フレーム等と接触でヒューズが飛ぶことはありましたが、
それぐらいでエンジンは回転域でも下から上まで非常に快調に安定しておりました。
ところが先週の土曜日、月ヶ瀬~針テラス~柳生のルーティンコースでエンジンストップに見舞われました。
ここ最近はこのW1Sの出番が多かったのですが、そこには上の画像スタイルで長年乗り続けていたことから
少しイメチェンをしたいことが油断を招いたのかもしれません。
まず、そのイメチェン箇所は!
フロントフォークに纏わり付くヘッドライトのステーはアルミ鋳造品で純正のフォークカバーを兼ねたメッキ品とは
異なります。
最近、ピカピカのカスタムカブや月ヶ瀬ライダーのバイクを眺めていても皆、けっこう磨き込まれており
比べてT-PADDOCK630のバイクを見ると、けっして汚れているわけではありませんがどこかくすんでいるようにみえます。
そこで筆者も磨き剤を使ってW1SのクランクケースやYカバーをピカピカではありませんがボワ~っとモノが
映るぐらいまでは磨いてみました。
やはり綺麗になると気持ちはいいもので、そうなると少しヤレたところは逆に目立ち始めます。
その目立ち始めたところがヘッドライトステーをダイレクト着けているフロントフォークの上部なのです。
であれば、そのフォークをカバーするオリジナルのステーを着けてみようとなったわけですがこれがなかなか面倒な作業なのです。
上の画像のフォーク上部に久しぶりに着けましたヘッドライトステーです。
ショーケースにて保管しておりましたので少し磨いてやるだけでピカピカになりました。
ただ、今までのステーとヘッドライトをマウントする位置が少し短くなることからビキニカウルの付け位置が変わります。
となると次はビキニカウルのステーを短くしなければなりません。
上の画像のメーター下からニョキっと出ている細いアルミ棒がステーです。
一先ず全てを現物合わせで取付完了です。
これで気分も変わると、その手を入れたバイクに乗りたくなるのは私だけでしょうか!?
まぁ乗ってみましたが特に何かが変わったというのはありません。
あえて言えば「気分」だけです。
そんな気分で月ヶ瀬に早朝より行ったのですが毎度の信者さん達は目もくれることはありませんでした。
ほんまにトホホな気分です!
そんな気分でも月ヶ瀬から針テラスに向かう時は、まだ涼しい内ですから気分は上々!
そこには250ccからW1クラスにはちょうど良い適度なカーブがあり月ヶ瀬から針テラスまで信号箇所が
たった1か所しかない距離にして約20kmほどのルート!
そのルートはクルマも超少なく、ほぼ4速のトップギアのまま走り切れるところなのです。
そのルートも快調に走り、針テラスから次は一気にT-PADDOCK630まで約50kmを引き返しますが
その帰り道中で冒頭のトラブルに見舞われます。
針から筆者の以前のルートの水間のT字交差点まで引き返し、そこを右に折れ少し進むと月ヶ瀬方向と柳生に向かう
369号線とのY字の分かれ道に出合います。
そこを369号線に入り柳生焼陶器窯元のI倉先生の工房があるT字交差点に向かうのですがその山道の途中に一か所だけある
クルマ1台しか通行できないであろうボトルネックとでも表現しましょうか、そこに差し掛かる辺りで・・・
突然エンジンが「ボボボボ、ボボボボ、ッボッ!」と止まってしまいました。
現象的に「またヒューズ飛んだ!?」と頭を過ったのですがクラッチレバーを切ってメーターの
インジケーターランプを見ると赤の電流が流れているランプは赤々と点灯しております。
「うん?なにが起きた?」
と、一先ず道路端に寄せてW1を止めます。
そしてシフトをニュートラルにしてキーを一旦切り再度キーをONにします。
するとニュートラルランプの緑と先ほどの赤いランプは点灯します。
ここで頭の中を自身に言い聞かすように「ということはヒューズは切れていない!」
そこでギリギリの携帯工具のプラグレンチを出し左右のプラグを外し、外した状態のプラグをケーブルにセットし
左右のプラグをエンジンフィンにつけてキックを数回踏み下ろします。
ところが何度も目を凝らして「火花が飛んでいるか」をチェックするも左右全く飛んでいない!
ここで原因を探るのですが・・・
1.コイルがパンクした。
2、コンタクトブレーカーのポイントが焼損した。
3、セミトラが逝かれた。
などなどが頭をかすめます。
しかしこんな山奥でプラグレンチしかない状態で修理箇所も曖昧で・・・「どうすんの?」と・・・
「ここはレスキューを呼ぶしかないか・・・」と携帯を出しレスキューの電話をかけたところメッセージが・・・
「電話がつかえません。ネットワークを有効にしてください」とかいう意味の表記が・・・
「えッ!嘘やろ!?」と携帯の設定とかをいろいろチェックするも全てON状態!
「え~、この辺りは電波が飛んでない~~い~!」て顔面蒼白状態!
そしてハッと気がつくと周りはジリジリと日差しが段々厳しくなってきている様子!
「ここで俺は熱中症で死ぬのか・・・」
おまけに明日の新聞は「古希前の老人、山中でバイクと共に熱中症で死亡!」って掲載されるんかい?
とかも考え、額には大粒の冷や汗ともつかない、とにかく汗がたらたらと出てくる始末!
でも、このルートは通り慣れた道!
冷静に考えればどこに民家があって、どこに学校があってとかがだいだいですがわかっております。
で、今回のエンストしたところから少し行けば確か民家があったことは承知しておりましたので重いW1を押し始めたところ
なんと緩い下りでした。
そこで急遽、跨り目的の集落まで惰性で到達。
そしてレスキューを呼ぼうと再度、携帯を掛けようとすると・・・
ここでも電波が届かず通話、ネット―ワークが使えません!
本日二度目の「ウッソやろ~!」
で、考えても仕方ないので今度はマジでW1を押し、電波の届くところまで100mとるくらい移動!
ところが、その電波が届いているところになかなかたどり着けない。
そして、その途方に暮れているところから先の道を眺めると・・・
ずっと炎天下で日よけになる陰が見えない!
「さぁ~て、どうすっかな!」と休憩も兼ね、思案し始めた時・・・
右側のプラグを何気に外し再度キックを踏んで火花チェック!
「うん!」
もう一度キックを踏み込みます!
「うん!」
なんか細っい白い糸みたいなのが見えたような・・・
再度、今度は力を入れてキックを踏み下ろします。
すると、僅かながら飛んでいるようにも見えました。
ダメ元で左右のプラグをセットし、今度はスタンドも立てて本気でキックを踏み下ろすと・・・
「ドド~ン、ドッドッドッ・・・」と1ッ発で掛かりアイドリングも安定してるやないですか!?
で、また止まることも予測して上着が半袖Tシャツのままでヘルメットだけを被り直し恐る恐る柳生焼窯元のI先生近くの交差点まで向かいます。
時速40km/hぐらいで難なく辿り着きました。
「なんか行けそう!」
で、ここでキチっとライディングスタイルにしてリ・スタートをします。
ここからは電波も拾えますので安心?して帰路につけますが道中、「う~ん、なんで止まってん!?」
と原因ばかりが頭を支配します。
そうこうしている内に奈良市内が近くになった時、少し頭がぼ~っとしだしましたので軽い熱中症と判断!
すぐさま般若寺交差点のセブンで水分補給!
その際、初めて飲みましたが200円ほどで「モンスターエナジー」なる栄養ドリンク?を口にしました。
感想は「マッズ~!」でした。
が、昔から「良薬、口に苦し!」と言います。
が、昔から「良薬、口に苦し!」と言います。
素直に効いていると思うことにします。
そして約1時間のロスタイムでT-PADDOCK630ガレージには10時半頃に戻ってきました。
その午後から当該のW1Sの故障の原因を探すのですが・・・
一先ず、プラグを交換して再度火花チェックをします。
思わず「うん?原因はプラグ?」と思ってしまうほど元気な火花!
では死にそうな僅かな火花で戻って来れたのだから「さぞスムーズにエンジンは掛かるだろう・・・」と思いきや
まったく、ウンともスンとも掛かる気配がない!
仕方なくアクセルグリップを全開にした状態でキックを数回踏み下ろすと・・・
「バラッ、バラッ、バラッ、バババババ~バッ・・・」となんとか強引に掛かったのですがグリップを緩めると
途端にエンジンはプスッと止まってしまいます。
これは道中でエンジンが止った現象とは全く違う様子!
「さて、真の原因はどこに・・・」
火花がしっかり飛んでいるということは原因としてコイルは先ず除外します。
そしてバラバラいいながらもエンジンは掛かるので点火時期を疑います。
コンタクトブレーカーを台座に締めているビス類の緩みをチェックしますがしっかり止まっています。また台座を外し台座の内側にある進角装置のガバナの不具合も点検しますがスプリングも効いて異常はなさそうです。
同時にコンデンサーの不具合もチェックをしますが容量等の数値的データが不明ですの後回しにします。
そこにはセミトラを入れているのでコンデンサーにはさほど影響をしないと思っています。
しかし、それは正しいのか!?
そこでセミトラをチェック!
シート下のメッシュパネル下にセミトラを収めています。そのチェックは点火時期がキチっと合っているのか!?になります。
よって先ほどのコンタクトブレーカーの開くタイミングをチェックします。
そのタイミングの合いマークは
画像のエンジン左の穴に覗くクランクシャフトのバランサーに付けられた赤い印が上死点前5度を指しています。よってこのタイミングで着火されればタイミングは合っていることになります。
そこでセミトラのインジケーターランプを確認しますと
この段階では緑のランプだけ点灯。そしてほんの僅かクランクシャフトを進めだすと
赤いランプが点灯しました!これで一先ず点火時期のタイミングは合っています。
であれば次は念の為、コイルをチェックしますがあれだけ綺麗な火花が飛んでいるのでどうでしょうか!?
この画像から4枚目上の画像のメッシュパネル横の1次コイルのプラス端子とマイナス端子間の導通を測定します。4Ωが標準ですが同様にオリジナルのコイルとも同数値です。
電気系の大まかなところは問題ないようなのですが・・・
では次は燃料系を疑うことになりますが問題箇所がドンドン遠のいているように感じます。
ですが一応をキャブレーターもしばらくメンテしておりませんでしたのチェックついでにオーバーホールに掛かります。
ミクニ製のノーマルキャブレーターと違ってこのFCRキャブはパーツ数が相当多く感じます。これを先ずオーバーホールして組み直し、それから再度電気系をチェックすることにします。
どちらにしてもT-PADDOCK630のW1Super Specialは長い付き合いで絶対、治してあげたいのですが・・・
筆者と同じく高齢ですのでちゃんと治るのやら心配です。
「さぁ~て、絶対治すぞ!」
と思った矢先、1本の電話が入ります。
「T-PADDOCK630のホームページを拝見しまして・・・」
と何やらバイク購入のお問合せ!
W1でないことを祈ります!
では!
T-PADDOCK630 T/Tatsumi