2021年7月29日木曜日

『Bike in the sky』#244 やめとき!

東京オリンピック2020で日本選手のメダル獲得を観ていると開催前の「賛否」を問わず元気をもらえます。

そこにはオリンピックにかけてきた出場選手の純粋なパフォーマンスに魅せられているからではないでしょうか!?

かく言う私は改まって自身の人生を振り返った時、果たしてスポーツで「戦い」と言えるようなことはあったのか?

せいぜい18,9歳ごろに空手で難波の府立体育館だったかな?

とある流派の他道場間同士の試合に出場!

1回戦では顔面への正拳がきまり一本勝ち。

しかし2回戦では私の中段に相手の前蹴りが決まり、そこで敗退になってしまいました。

その日は「腹の虫」が収まらず、またきまりも悪く、スッキリしなかったような記憶があります。

その腹の虫ではないのですが先週の土曜日、CB750の腹の虫ならぬフロントタイヤの「ムシ」すなわちエアーバルブが・・・

その前日にはCB750のフロントタイヤを今までのように峠を攻めることも減りましたので「K300」から「TT100」に変更しての交換作業をしました。

そして明くる日の土曜日は峠での感触を試すために月ヶ瀬に乗り出しました。

感触はやっぱり?TT100で「可もなく不可もなく」でした。

そんな感触の話しを月ヶ瀬では一切せず月ケ瀬から帰ろうとしてCB750のエンジンをかけ、ギヤをローに入れ、クラッチレバーをゆっくり離して颯爽?と発進しようとした瞬間・・・

ハンドルが重く、おまけにフロントの足元がグラグラ!

一瞬「何が起きた!!!!」とフロントタイヤに目をやると・・・

タイヤはペッタンコ!

「え~!!!!」「なんでパンク?」

早速

その矢先で居合わせた月ヶ瀬早朝組の皆さんは私がCBのシート後部に乗ってフロントタイヤを浮かせている間にフロントタイヤに刺さったであろう釘などの犯人捜しをしてもらいます。

ところが「全くの刺さった痕跡もない!」ということで・・・

「ムシがあかんのんちゃう?」と言う結論めいた話が出だします。

瞬間!

「あっ!それあるかも!」

で、疑いは「ムシ」になるのですが、そのチェックをしたくとも「周りに空気がない!」

で、月ヶ瀬レジェンドのNa〇さんが

「イドちゃんに空気入れとムシ持って来てもらうわ!」で携帯でイドちゃんにレスキューを依頼!

その時の画像が上の画像なのですが・・・

当初はJAFを呼ぶ段取りをしようと思ったのですがJAFに依頼すると15Kmまでの距離は無料ですが15kmを越えると1kmで700円。

私のガレージまでは残り約25kmですので24000円ほどかかってしまいます。

さすがにこういう時は月ヶ瀬レスキューネットワークは大変助かります。

だれでも利用できるネットワークではありませんが私は日頃イジラレてる甲斐?あってどうやら上顧客?のようです。

そんな最中でも「今回の記念です。こっち向いてぇ~! 」と・・・パシャ!

柳生焼の匠?先生?総長?様に撮っていただきました。

私的には暑さもあってあんまり嬉しそうではない表情!(ダメですね感謝しないと)

と言うような「虫に絡んだムシ」のお話しでしたが、イドちゃんに空気圧を3kg/㎠を入れてもらい帰りの道中も減圧によるタイヤのたわみが無いかを観ながら無事ガレージに戻ってこれました。

ガレージで空気圧を測るとキチっと3kg/㎠を指しておりました。

原因は
このタイヤバルブ。通称ムシ!

実は前日のタイヤ交換時にこのバルブの画像右側のチョボを押してチョボの戻り具合の動作確認をした時です。

チョボを押した時、スッと左方向に押せたのですが戻りがほんの一瞬、躊躇したように見えたのです。

しかしチョボは戻ってましたのでそのまま使ってしまいました。

今さらですが冒頭の空手大会と同様、「腹の虫が収まらない」とまでではありませんが自身の不注意で招いた結果です。

皆さん、少しでも怪しいパーツ、ましてやコストもしれているパーツは絶対交換しておきましょう!

そして、今回のフロントタイヤを再度チェックしておりましたら・・・
月ケ瀬でパンクの原因を見つけるべくフロントリムを一生懸命回して頂いた名残りが現れておりました。

上の画像のタイヤサイドに黄色く着けられた印は空気口の位置を示すものですが、そこには空気口がなく印から右側に約20㎝ほどのところにズレておりました。

Na〇さんが一生懸命、パンク穴をさがして頂いた名残りです。

お世話かけました。

そのお礼話で別のお話です。

先月の6月26日号で当「Bike in the sky」にて「拡散希望をお願いします」とお声がけをさせていただきましたが数日前にお礼状が届いておりました。
「チーム・サキ」の小松沙季選手からのお礼状です。

「みんなでまだ見ぬ景色へと」・・・なんかグッときます!

この小松選手は現在開催されてます東京オリンピックのあとの8月24日開幕「パラリンピック」の「パラ・カヌー」に出場されます。

障害を乗り越えて希望を胸に・・・すごいです!

私も負けずに頑張ります!

って「ジイさん、何をガンばるねん?」

「やめとき!やめとき!」って・・・

耳も遠くなっているのに聞こえてくる・・・空耳か?

では!
T-PADDOCK630 T/Tatsumi

2021年7月22日木曜日

『Bike in the sky』#243 ありがとうございました。

コロナ禍において、いよいよ東京オリンピックが始まります。

このオリンピックに関しまして世論は「開催の是非」で違う意味の賑わいをみせております。 

果たして開催後は良かったのか拙かったのか・・・

どちらにしても安全に無事終わることを願いたいと思います。

そんな大イベントとは比較になりませんが当T-PADDOCKでも、このひと月は大イベントでワクワク、ドキドキの日々を過ごしておりました。

そのドキドキの方で先週号では「セロー復活プロジェクト」が「試練です!」で終わりました。

しかし、その翌日には試練の原因不明のトラブルを何とか解決?できたようです。

「試練です!」と思った時は・・・

「仕事受けたものの、ほんまに直せるんかい?」と、その晩は寝付けずでした。

でも翌朝、天の声が「たぶん、あそこをチェックしてみろ!」と聞こえたような気がしました。

お陰で予定通りセローの引取りは完了し「セロー復活プロジェクト」は終了しました。

先週の土曜日、引取りに来られたオーナーのOka〇さんです。

T-PADDOCKに到着して、まず近場を試乗して頂きました。

結果、上の画像がまずまずの出来に喜んで頂き、試乗から戻って来られた時のワンショットです。

当日は同じセローに乗るShi〇さんに乗っけてもらっての引取り!
そして、その後セローやオフロードでの走り方教室?もどきになり・・・

Shi〇さんからセローのメンテの手ほどきを受けられます。
真剣にレクチャーを受けられる様子!

ですが、そもそも先週の「試練」を乗り越えた説明を先にしなくてはなりません。

ブリーザーホース右の「プッシュレバー」という、ワイヤーで引っ張られ1/4回転ほどしてクラッチを切る金具が全く動かない。

で、終わったのですがパーツリストを見る限りトラブルは電気系とは全く検討違いの、やはりクラッチに関わる機会的な所では?

パーツリストを見る限りクラッチ周りの構造は昔ながらのシンプルなモノ!

「ならば私でも直せるだろう」で右側のクラッチ板が収まるクランクカバーを開けることにしました。
開けると当然、エンジンオイルがザーッと流れ出します。

よってオイルトレイの上に細目のネットを被せてパーツ等の脱落があっても即座に発見できるようにします。
そして、クラッチプレートも外しにかかったところで・・・
上の画像左端のオイルが溜まったトレイの網に引っ掛かった異物を発見!
これが原因かどうかはわかりませんが、クラッチプレートを左側から押すプッシュロッドの先端から出てきた異物!

その他はオイルの中を探るも金属の削りカスのようなモノで、よくある廃油に混ざる金属粉とは明らかに別物!

この段階でクラッチレバーを握ると、なんとスムーズに軽く握れます。

と言うことは、クラッチレバーが握れない原因はプッシュロッドより先にあるとなります。

そしてここでパーツリストを再度見ますとプッシュロッドの先にはボールベアリングにみるような「ボール」なるパーツが表記されております。

ですが、外したここまでの段階ではそのボールは見当たりません。

ならば、車体を右に傾けクラッチプレートを押すプッシュロッドが収まる円筒形のど真ん中の穴からボールが転げて出てくるのではと・・・

ですが真ん中の穴からは全く何も出てこず!

車体を垂直に戻しペンシルライトで穴の中を覗き込みます。

そして覗きながらクラッチレバーを握るとプッシュロッドが数ミリ?レベルで動く様子だけが見て取れます。

ここで「ボールがない!」ということが判明!

「ボールが破壊した?」

「その破壊したボールの破片が先ほどの金属片なのか?」

と疑惑は増すばかり!

そこでT-PADDOCK内にあるボールを探すもハンドルステムに使うボールレース型のベアリングボールしかありません。

しかし、そのボールの在庫も直径をノギスで測るも4.5mm程度が最大!

一先ず、プッシュロッドが収まる穴にそのボールを入れプレートも全て組み込んでクラッチレバーを握ります!

7枚のクラッチプレートは開きました。

思わず「よっしゃ~!」と声を上げましたがクラッチレバーを完全に握ってチェンジを入れ後輪が回るかを確認します。

結果はクラッチプレートが完全には切れきれていません。

と言うことはボールの直径が小さいという結論になります。

ではボールの直径が何mm必要なのかになりますので穴の直径を測ると凡そ8.5~9mm程度。

ならば、そのボールの代替品を造るしかない!

それは
画像の上に映るのがハンドルステム用のボールとレースで、そんな感じの8mmぐらいのボールに近いパーツは画像下の8mmボルトの頭下のネジを切っていない綺麗な部分だけをカットして使います。

それをプッシュロッドの先に入れクラッチプレートをハメてレバーを握ってキチっと切れるまで何度も何度もボルトからカットした手作りパーツをグラインダー削っては組み、削っては組みを繰り返します。

話しは少し逸脱しますが実はこれに近い現象は今から約25年前にT-PADDOCK630の「YAMAHA XS1」のレストアした時にもありました。
上の画像真ん中にあるシルバーメッキのドレンプラグのようなキャップが映っていますが当時、このXSを手に入れた時はクランクケースのこのキャップは無くなってありませんでした。

当時、貴重なパーツリストを入手し、このクランクケースのキャップ内部の構造を示すイラストを観るとチェンジをさせるシフターだったかな?みたいな先にボールがあって、そこに確かスプリングがありカチカチっとシフトできるような構造だったように記憶が蘇りました。

しかしその時は、そのボールを入手する術もありませんでしたの今回同様、自作をしたのを思い出した次第なのです。

話しを本線に戻します。

そして削っては組みを4,5回目ぐらいで「まぁこの辺かな・・・」というポイントが出ました。

そして組み直してT-PADDOCK前を試乗!

なんか行けそうな雰囲気ですので保安部品もキチっと付け本テスト!

新石切まで行き、そこから外環状線まで出て阪奈道路上りから阪奈頂上まで行って引き返しT-PADDOCKまでの約10kmぐらいを無事完走!

インプレッションとしてはチェンジアップは問題ないのですがダウンでは低速ギアで入り難くい時がありニュートラルもやや出難いレベル。

でも走る点では問題ありませんので一先ずオーナーさんに乗って頂き「今回のトラブルの原因がボール」だと結論付けられれば部品を取り寄せることにしました。

という経緯があって先週、土曜日に引取りで来て頂いたのですが私が全くのノーマークな所が「折れてますよ!」とShi〇さんからご指摘。

オフロードで転倒した時用のフロントフォークへのダメージをカバーするプロテクターバーなるパーツの根元が折れておりました。
まぁ、このレベルであればT-PADDOCKでも溶接は可能!
といことで溶接にかかります。
(撮影者はShi〇さん。)
そして溶接したところを・・・
グライダーで軽く削ります。(撮影者はShi〇さん。)

そして今回の注意点の説明をしっかりオーナー様に伝授しました。
(撮影者はShi〇さん。)

そしてT-PADDOCKから無事にご帰還!
長いような短いような、ひと月でしたが大変楽しませてもらいました。

そしてOka〇さんの奥様からは過分なプレゼントと心温まるお手紙も頂戴して恐悦至極に存じます。

その一文をご紹介させていただきますと

「青春を一緒に過ごしたバイクなのでずっと手離すことができませんでした。またセローのエンジン音が聞けるとは思っておらず大変嬉しく思っています。」

ほんまにエエ仕事をさせて頂きました。こちらこそありがとうございました。

と、奥さんが乗るのかと思いきや・・・
明くる日の日曜の月ヶ瀬に旦那様が早速のお出まし。

そして、その帰りには・・・
なんのなんの、旦那が山に遊びに行っとるがな・・・

こっちにしたら、まだ慣らし運転をして欲しいところなので・・・まぁエエのですけど・・・

あとは、ひと月後か500kmぐらいの走行後、オイル交換と同時に例の「ボール」を純正部品に交換して終了です。

ありがとうございました。
T-PADDOCK630 T/Tatsumi

2021年7月15日木曜日

『Bike in the sky』#242 試練です!

各地で雷雨による被害が多発しています。

バイクなんぞに乗ってる場合ではないのですが・・・

そんな悪天候続きの束の間の先週の日曜昼下がり!

現在、T-PADDOCK630でお預かりしておりますセローのオーナー様がお友達とお見えになりました。

左からOka〇さん、Kur〇さん、Sin〇さんの御三方!

こちらにお見えになった理由は「是非、T-PADDOCK630のコレクションを見たい。」ではなく・・・

この「キー」がその理由を握る“キー”なのです。

要はOka〇さんが奈良の山奥で自宅のキーが無いのに気づき自宅に帰るにもご家族は外出中で家には入れない。

ならば皆さんで協議の上、「暇つぶしにT-PADDOCKに行かへん?」となってのご来店です。

それでも私的には大歓迎ですの快くお迎えいたしました。
そんなこんなで子育てや夫婦関係や仕事についてや、などなど・・・3時間半にもわたっての御滞在でした!

お越しになったバイクたちは・・・
Sin〇さんのGPZ Ninja!
エンジンは乗せ換えて大切に乗っておられ、愛情をひしひしと感じ取ることができます。

つぎが
Kur〇さんのNewマシン。
BMW S1000!
車体色は画像では白に見えますが少しパールが入っているようなライトグレーでジェントリーな匂いがします。

そして
T-PADDOCK630のお客様、Oka〇さんの250㏄のスクーター

このOka〇さんのセローでは私は現在、いろいろとバイクについてお勉強をさせていただいております。

今週でお預かりして丁度ひと月になろうとしており、いよいよお引き渡しというところでまたまたの問題発生!

その問題箇所の前に前週からの作業内容の進捗・・・
フロントブレーキのキャリパのオーバーホールは完了し、次はマスターシリンダー周りにかかるべくブレーキオイルタンク内を清掃しようとタンクキャップの2本のビスを外しにかかります。

ところが画像の様に左ビスはなんとか弛んだのですが右ビスが、またもや固着ってアウト!

今まで何度も固着りを乗り越えてきましたが場所が場所だけに荒業も行使できず、ここはドリルの出番!

こういう事態では今時は専用の特工があるそうですが私は昭和の匠たちにご教示頂いた秘技を駆使します。

それはドリルでビス頭の十字を超低回転で潰しにかかります。

潰して円周が大きくなったところでドリル刃で切り立ったところに鋭利な先を持つ極太の千枚通しのようなモノをハンマーでコンコンと左回転方向に叩きます。
すると全く動じなかったビスは弛みだしキャップが開きました。

その中は・・・
ブレーキオイルがゼリー状になっていました。

まぁ想像はしていましたので、お掃除をして新たなオイルを注入しエアー抜きをして完了!

だいぶ目処が立ってきましたので発注した新たなパーツの到着待ち。

駆動系の前後スプロケやチェーン、フロントタイヤ、バッテリーなどです。

順次スプロケ、チェーンが届きましたのでリアタイヤを外して早速交換作業!

そこで見たものは・・・
何かの虫のサナギのような塊。

こんなのが5,6個あったのですがブラシで除去にかかる最中「おっ、写真に収めなくては・・・」で気がつき最後の除去前の画像です。

なかなかです。

こうしてリアハブ周りを掃除してスプロケを装着!
次にチェーン。
フロントスプロケットも交換して
RKの428V、コマ数120でジョイントはクリップ式です。

本来、カシメタイプを選択するのですがいろいろとメンテを考えると高速用途でない限りクリップ式が私はお勧めです。

オーナーの承諾をとっての選択です。

チェーン等の交換作業が終わると次はチェーンカバーです。
画像は付着していたブツを除去し終えたところですが・・・

そのカバーに付着していたブツ!
チェーンからの飛沫油に土が混ざって熟成?された????年代物です。

そしてタイヤ交換もおわり一通りの作業終了で間もなくゴールです。

で、軽くテスト走行します。
一度目の1kmほどの走行では大きな不具合は感じることはできませんでしたが二度目ではセッティング段階で安定していたアイドリングも、ややバラツキ出しスタートからの初速では少々タイムラグのような一息つく感触がでます。

早速、セッティングのし直しなのですが、これがまた大変な作業!

シートを外し、クリーナーボックスを止めてあるボルト類を外しボックスを後方にグッとさげキャブにあるワイヤー類を外し・・・

で、なんとか外れたキャブの再セッティング。

今回はパイロットジェットをひと番下げて?エアスクリューを全閉から1回転戻しを2回転戻しで組み直します。

そしてエンジンをかけてみます。

結果はアイドル状態ですが全くのバラツキもなく数分の安定とアクセルをグッと開けてもレスポンスもまずまず!

あとは再度、乗ってみないと分かりませんのでフィニッシュの作業にかかります。

ちょっと忘れかけてましたオイルフィルターの点検。
なんと新品か!?と見間違うほどキレイ!

このフィルター、そしてブレーキパッド、タイヤなどの程度と消耗度から推察しますとたぶん最後に乗られた時、新品に交換されていたのではと思いました。

よって、このフィルターは使用可でそのまま戻します。

さ~て、ここで最後にして欲しいと思う問題発生は!?
作業も終焉に近づいてきましたのでクラッチワイヤーへの潤滑給油を行いクラッチレバーの摺動部に薄くグリスを塗布!

そしてレバーをホルダーに戻しレバーのタッチを確認しようとレバーに指をかけ握ったところで・・・

「うん?なんで握れん?」と、わずかに動くだけで全く握れない!

「どっかでワイヤーが引っかかているのか?」とレバーからクラッチが入っているクランクまでチェックをしていくも、どこにも引っかかっているところは見当たらい。

で、行きついたところは・・・
ブリーザーホース右の「プッシュレバー」という、ワイヤーで引っ張られ1/4回転ほどしてクラッチを切る金具が全く動かない。

30分ほど「あ~でもない、こ~でもない」と、いろいろやってみるも直らない!

「う~ん!何が悪い?さっきまで何の問題もなく握れてクラッチはスムーズに切れていたのに・・・」

今のところ何の予兆もなく突然起きた現象ですからクランク内のクラッチ関係ではない様に思います。

怪しいのはクラッチレバーの根元にある電線がクランクケースまでつながってるスイッチのようなチョボ。

握ればそのチョボがホルダーに押され、レバーを離せばチョボが出るというような・・・

なんとなくチェンジが入っていてもセルが回せる?安全装置のような匂いがします。

さて、最後の最後でこの結末やいかに!

さすがに今回は少々「どうしたものか・・・」

試練です!

ではまた。
T-PADDOCK630 T/Tatsumi

2021年7月8日木曜日

『Bike in the sky』#241 あ~、オモロ~!

今日も雨の中、とある雑誌に目を通しておりまして・・・

画期的な掃除機で一躍有名になった「dyson」のCEOに昨年、元BMWや日産の要職にいたローランド・クルーガー氏が就任した記事が載ってました。

その中で「開発はワンテーブルで」というデザインからテクノロジーまでが一体的に取り組み同時進行で新製品を生み出す発想が「dyson」だと!

どう言うことか!?

デザインとエンジニアリングとテクノロジーが一体化し、シームレスに開発に取り組んでおり1つのテーブルの周りでチームとして各機能が一体化する。

そして議論が続く中で、それぞれの専門性は違うが誰もが発明家の発想をしデザインやリサーチ、エンジニアリングなど様々な部門が「1つになって面白いものが生まれる」と!

このチーム一体の発想で例のコードレス掃除機は日本の狭い住居にも対応して新製品が生まれたそうです。

これを読んで私は何が言いたいのか!?

それは「仕事を楽しんでいるな!」と感じたことなのです。

手前味噌ですが私が創業しました会社にも経営理念やミッションなるものは作成して社員と共有しておりました。

その中の代表的なものに「五者の利益」と「仕事はゲームだ」ってのを作成しまして特に「仕事はゲームだ」は事あるごとに飲み会などで雑談に交えて話しておりました。

「いい結果を出したいのであれば『仕事をさせられてる』って思ったらエエ結果は出んよ!自身が楽しまんと!」

そんな事を思い出しながら、ここ最近の私も楽しんでいることがあります。

ここからはちょっと強引ですが、その私の今楽しんでいる話しに・・・
それは、お預かりのYAMAHA セロー復活プロジェクト!

お預かりしてから間もなく1カ月になりますが上の画像のようにゴールが見えてきました。

前号まではプラグに火が飛んだという記事はご紹介しました。
そして、あとはキャブレターがちゃんと機能すればの話しになります。

上の画像は、その組付けたキャブレターのテストで通称、点滴タンク?のガソリンを流し込んで「エンジンがちゃんとかかるか!?」の段階。

前号のセルが回るところまでは記事にしましたが「エンジンが掛かるか?」はやっぱりクランク内の古いオイルが心配です。

クランクのオイル量が分かる覗き窓?にはセローを傾けてもオイル量が窓に表れない。

もう少し傾けて、やっと黒いオイルを確認しても粘~っとした感じでラード状態!

ここはエンジン内を洗う「フラッシング作業」に変更!

ところがまたもや問題発生!

ドレンプラグが全く緩まない!いや緩められない!
ドレンプラグの19mm六角頭の角がたぶんソケットレンチか普通のスパナで舐めたであろう痕跡で丸くなりかけている。

これを強引に回したところで傷口を大きくしてしまいます。

一応、ソケットではなくトルクが掛かり易いメガネレンチを使いますが、すでに角が落ちていることから感触がギュニュっとした手応えで怖くて回せません。

よって、ここは必殺技の・・・
「バイスプライヤー」の出番!

万が一を考慮してYAMAHAのパーツリストで在庫を確認します。

結果、在庫あり!

単価も1000円ほど!

ここは最悪でもドレンが緩みさえすればオッケーです。

一先ずはネバネバの古いオイルを抜きフラッシングをしましたが、まだ粘り気があり真っ黒!

よって2回目のフラッシングを行いサラサラになったところで新たなオイルを入れました。

そしてキャブレター!

キャブレターは一応、全バラで細かい箇所もキャブクリナーとエアーで清掃。

エンジンに火をいれます。

なんとか掛かるもののアイドリングが安定しない。

何回も繰り返しますが症状は同じ!

とすると原因はパイロット・ジェットかエアースクリュー!

永年の放置はキャブレターには相当のダメージのようです。

前回のキャブを開けた段階では各ジェット類がガソリンで目詰まりしているのは一目瞭然!
セローであればパーツは簡単にYAMAHAから出ると思ったのですが、これが出たのは出たのですが、なんと在庫が少なくなってきてることからけっこう高値状態。

こういう経緯を踏まえまして、そんな話をこのセローのオーナーに伝えました。

するとオーナーから「キャブキットあるらしいですよ!」と月ヶ瀬のプロも顔負けの整備技術をもつAsa〇さんの情報が入ります。

さっそくAsa〇さんからも入手先をご教示いただきましたので注文サイトに入ったのですが、そのキットはセローの型式が1993年まで!

こちらのセローは1998年式。

さてオーダーして良いのやら・・・

一先ずオーナーと協議の上、オーダーすることにしました。

理由はYAMAHAの、とあるパーツひとつと、このキットの価格があまり変わらないということでキットパーツの一つが合うだけで「元が取れる」という非常にチープな?大事な?発想でした。

それが
こんな感じがキットです。

このキットは一部のジェット類はたぶん問題ないだろうの寸法!

ですがジェット・ニードルは目視で明らかに径が細い!

であれば相手側のニードル・ジェットが交換して合えばクリアするはず!

ところが、そのニードル・ジェットが固着してなかなか外れない!

であれば旧車でもよくやる「ドブ浸け」作業!

ただ、私の経験では旧車でもドブ浸けは一般の灯油を使うのですが、たまに灯油がキャブの一部に悪さをして本来の性能が落ちる、若しくはエンジンがかからないことがありました。

よって、あまりやりたくなかったのでAsa〇氏に聞くと・・・

「今のキャブは大丈夫やで!一晩ザブンと浸けといたら・・・」でした。

信じて・・・
一晩浸けました。

そして
今回の作業の中で交換したパーツ類ですが・・・

お目当てのニードル・ジェットは取り外しはできたのですがキットパーツとは微妙に外径が違うような・・・

それはキャブの内径側に新たなニードル・ジェットを差し込むと本来少し抵抗があって軽く押し込むように挿入していきます。

ところが、ほとんど力も入れない状態でストンと入ってしまいました。

「え~、大丈夫かなぁ~!」と少々不安ではありましたが前に進めます。

他にも何か所か「う~ん・・・」というのはあったのですがこの際、キットパーツで使えるパーツは全て変えました。

その方が問題の究明には分かり易いのです。

ただエアースクリューの位置が簡単に調整できる位置にはなくセッティングのドライバーも入らない位置にあるのです。

私が経験したキャブのエアースクリューは全てキャブレター側面にありエンジンの回転が上がる位置をさがしてアイドリングを整えます。

よって今回のセローのエアースクリューは全閉から1回転戻しで進めます。

結果、一先ずビンゴでした。

エンジンも初動のみチョークを引きましたがあとはアイドリングも安定し数分、そのままでも不整脈的な一瞬、プスっという症状もなしでした。

あとは実走で中速域以上がスッと出れば完璧です。

よって次に作業は進めます。

エアーフィルターの交換です。

フィルターは街乗りレベルであれば無くてもいいのですが・・・
画像のように以前のフィルターは化石のようで掴もうとすると粉々になってしまいます。

これを観ると何故か変えといた方が良いのではと・・・
このフィルター、なかなかうまく考えられておりましてスポンジながら脱着が非常にスムーズです。

ここから次はハーネス等の配線を非常に狭いスペースに且つ部品の交換も考慮して収めていかなければなりません。

これがけっこうナゾナゾで相応の時間を要してしまいました。

次は足周り移りますが、その前に前後の制動系のオーバーホール!

ここまで長期放置で各部の固着状態と格闘してきましたので、これからも現れるであろう固着は少々のことではビックリしません。

制動系はリアから始めますが、想定どうり?

ではなく想定以上の固着がまたまた現れます。

ですが記事にもならない、ただボルト類が錆び過ぎてウンともスンともなだけです。

これも一応カバーできました。
キャリパ―内のピストンさえ外れればピストンの外周面を綺麗に磨いてやればほとんどのディスクブレーキは復活します。

パッドも新品かと思うぐらい山も90%ぐらい残っており交換は不要と判断!

実走してみて「全く利かない」と確認してから新品に換えても良い。の判断です。

パッドよりディスクの方が前後とも少々、気になります。

ボディは相当な腐食でしたが腐食面をブラシで落とし研磨剤で軽く清掃。

そしてフロントブレーキ!
こちらもリアと同様にボルト類が緩まず難儀をしますが、もっと大変だったのが2個のピストンの内、画像の小さい方のピストンが全く動じず悪戦苦闘!

「さてどうするか・・・」と思っていたところで

「押してもダメなら引いてみな!」の諺?
の逆で「引いてもダメなら押してみな」に作戦変更!

押す。すなわちピストンをキャリパ内に戻すことになります。

相当力をかけて押してもなかなか動かず、数分の格闘をしている内、僅かにキャリパ内にグッと入り始めました。

さらにグッとグッと押し込んだところでブレーキオイル注入口から一気にコンプレッサーのエアーを送り込みます。

すると

「ポンッ!!」と小気味よい音が響いてピストンは抜けました。

ヤレヤレ!

本日の作業はここまで!

あ~、疲れた!

でも、なぜか頭の中は「あ~、オモロ~!」でした。

ひとりですから誰にも邪魔されず究極のワンチームを楽しんでます。

では!
T-PADDOCK630 T/Tatsumi