今日も雨の中、とある雑誌に目を通しておりまして・・・
画期的な掃除機で一躍有名になった「dyson」のCEOに昨年、元BMWや日産の要職にいたローランド・クルーガー氏が就任した記事が載ってました。
その中で「開発はワンテーブルで」というデザインからテクノロジーまでが一体的に取り組み同時進行で新製品を生み出す発想が「dyson」だと!
どう言うことか!?
デザインとエンジニアリングとテクノロジーが一体化し、シームレスに開発に取り組んでおり1つのテーブルの周りでチームとして各機能が一体化する。
そして議論が続く中で、それぞれの専門性は違うが誰もが発明家の発想をしデザインやリサーチ、エンジニアリングなど様々な部門が「1つになって面白いものが生まれる」と!
このチーム一体の発想で例のコードレス掃除機は日本の狭い住居にも対応して新製品が生まれたそうです。
これを読んで私は何が言いたいのか!?
それは「仕事を楽しんでいるな!」と感じたことなのです。
手前味噌ですが私が創業しました会社にも経営理念やミッションなるものは作成して社員と共有しておりました。
その中の代表的なものに「五者の利益」と「仕事はゲームだ」ってのを作成しまして特に「仕事はゲームだ」は事あるごとに飲み会などで雑談に交えて話しておりました。
「いい結果を出したいのであれば『仕事をさせられてる』って思ったらエエ結果は出んよ!自身が楽しまんと!」
そんな事を思い出しながら、ここ最近の私も楽しんでいることがあります。
ここからはちょっと強引ですが、その私の今楽しんでいる話しに・・・
それは、お預かりのYAMAHA セロー復活プロジェクト!
お預かりしてから間もなく1カ月になりますが上の画像のようにゴールが見えてきました。
前号まではプラグに火が飛んだという記事はご紹介しました。
そして、あとはキャブレターがちゃんと機能すればの話しになります。
上の画像は、その組付けたキャブレターのテストで通称、点滴タンク?のガソリンを流し込んで「エンジンがちゃんとかかるか!?」の段階。
前号のセルが回るところまでは記事にしましたが「エンジンが掛かるか?」はやっぱりクランク内の古いオイルが心配です。
クランクのオイル量が分かる覗き窓?にはセローを傾けてもオイル量が窓に表れない。
もう少し傾けて、やっと黒いオイルを確認しても粘~っとした感じでラード状態!
ここはエンジン内を洗う「フラッシング作業」に変更!
ところがまたもや問題発生!
ドレンプラグが全く緩まない!いや緩められない!
ドレンプラグの19mm六角頭の角がたぶんソケットレンチか普通のスパナで舐めたであろう痕跡で丸くなりかけている。
これを強引に回したところで傷口を大きくしてしまいます。
一応、ソケットではなくトルクが掛かり易いメガネレンチを使いますが、すでに角が落ちていることから感触がギュニュっとした手応えで怖くて回せません。
よって、ここは必殺技の・・・
「バイスプライヤー」の出番!
万が一を考慮してYAMAHAのパーツリストで在庫を確認します。
結果、在庫あり!
単価も1000円ほど!
ここは最悪でもドレンが緩みさえすればオッケーです。
一先ずはネバネバの古いオイルを抜きフラッシングをしましたが、まだ粘り気があり真っ黒!
よって2回目のフラッシングを行いサラサラになったところで新たなオイルを入れました。
そしてキャブレター!
キャブレターは一応、全バラで細かい箇所もキャブクリナーとエアーで清掃。
エンジンに火をいれます。
なんとか掛かるもののアイドリングが安定しない。
何回も繰り返しますが症状は同じ!
とすると原因はパイロット・ジェットかエアースクリュー!
永年の放置はキャブレターには相当のダメージのようです。
前回のキャブを開けた段階では各ジェット類がガソリンで目詰まりしているのは一目瞭然!
セローであればパーツは簡単にYAMAHAから出ると思ったのですが、これが出たのは出たのですが、なんと在庫が少なくなってきてることからけっこう高値状態。
こういう経緯を踏まえまして、そんな話をこのセローのオーナーに伝えました。
するとオーナーから「キャブキットあるらしいですよ!」と月ヶ瀬のプロも顔負けの整備技術をもつAsa〇さんの情報が入ります。
さっそくAsa〇さんからも入手先をご教示いただきましたので注文サイトに入ったのですが、そのキットはセローの型式が1993年まで!
こちらのセローは1998年式。
さてオーダーして良いのやら・・・
一先ずオーナーと協議の上、オーダーすることにしました。
理由はYAMAHAの、とあるパーツひとつと、このキットの価格があまり変わらないということでキットパーツの一つが合うだけで「元が取れる」という非常にチープな?大事な?発想でした。
それが
こんな感じがキットです。
このキットは一部のジェット類はたぶん問題ないだろうの寸法!
ですがジェット・ニードルは目視で明らかに径が細い!
であれば相手側のニードル・ジェットが交換して合えばクリアするはず!
ところが、そのニードル・ジェットが固着してなかなか外れない!
であれば旧車でもよくやる「ドブ浸け」作業!
ただ、私の経験では旧車でもドブ浸けは一般の灯油を使うのですが、たまに灯油がキャブの一部に悪さをして本来の性能が落ちる、若しくはエンジンがかからないことがありました。
よって、あまりやりたくなかったのでAsa〇氏に聞くと・・・
「今のキャブは大丈夫やで!一晩ザブンと浸けといたら・・・」でした。
信じて・・・
一晩浸けました。
そして
今回の作業の中で交換したパーツ類ですが・・・
お目当てのニードル・ジェットは取り外しはできたのですがキットパーツとは微妙に外径が違うような・・・
それはキャブの内径側に新たなニードル・ジェットを差し込むと本来少し抵抗があって軽く押し込むように挿入していきます。
ところが、ほとんど力も入れない状態でストンと入ってしまいました。
「え~、大丈夫かなぁ~!」と少々不安ではありましたが前に進めます。
他にも何か所か「う~ん・・・」というのはあったのですがこの際、キットパーツで使えるパーツは全て変えました。
その方が問題の究明には分かり易いのです。
ただエアースクリューの位置が簡単に調整できる位置にはなくセッティングのドライバーも入らない位置にあるのです。
私が経験したキャブのエアースクリューは全てキャブレター側面にありエンジンの回転が上がる位置をさがしてアイドリングを整えます。
よって今回のセローのエアースクリューは全閉から1回転戻しで進めます。
結果、一先ずビンゴでした。
エンジンも初動のみチョークを引きましたがあとはアイドリングも安定し数分、そのままでも不整脈的な一瞬、プスっという症状もなしでした。
あとは実走で中速域以上がスッと出れば完璧です。
よって次に作業は進めます。
エアーフィルターの交換です。
フィルターは街乗りレベルであれば無くてもいいのですが・・・
画像のように以前のフィルターは化石のようで掴もうとすると粉々になってしまいます。
これを観ると何故か変えといた方が良いのではと・・・
このフィルター、なかなかうまく考えられておりましてスポンジながら脱着が非常にスムーズです。
ここから次はハーネス等の配線を非常に狭いスペースに且つ部品の交換も考慮して収めていかなければなりません。
これがけっこうナゾナゾで相応の時間を要してしまいました。
次は足周り移りますが、その前に前後の制動系のオーバーホール!
ここまで長期放置で各部の固着状態と格闘してきましたので、これからも現れるであろう固着は少々のことではビックリしません。
制動系はリアから始めますが、想定どうり?
ではなく想定以上の固着がまたまた現れます。
ですが記事にもならない、ただボルト類が錆び過ぎてウンともスンともなだけです。
これも一応カバーできました。
キャリパ―内のピストンさえ外れればピストンの外周面を綺麗に磨いてやればほとんどのディスクブレーキは復活します。
パッドも新品かと思うぐらい山も90%ぐらい残っており交換は不要と判断!
実走してみて「全く利かない」と確認してから新品に換えても良い。の判断です。
パッドよりディスクの方が前後とも少々、気になります。
ボディは相当な腐食でしたが腐食面をブラシで落とし研磨剤で軽く清掃。
そしてフロントブレーキ!
こちらもリアと同様にボルト類が緩まず難儀をしますが、もっと大変だったのが2個のピストンの内、画像の小さい方のピストンが全く動じず悪戦苦闘!
「さてどうするか・・・」と思っていたところで
「押してもダメなら引いてみな!」の諺?
の逆で「引いてもダメなら押してみな」に作戦変更!
押す。すなわちピストンをキャリパ内に戻すことになります。
相当力をかけて押してもなかなか動かず、数分の格闘をしている内、僅かにキャリパ内にグッと入り始めました。
さらにグッとグッと押し込んだところでブレーキオイル注入口から一気にコンプレッサーのエアーを送り込みます。
すると
「ポンッ!!」と小気味よい音が響いてピストンは抜けました。
ヤレヤレ!
本日の作業はここまで!
あ~、疲れた!
でも、なぜか頭の中は「あ~、オモロ~!」でした。
ひとりですから誰にも邪魔されず究極のワンチームを楽しんでます。
では!
T-PADDOCK630 T/Tatsumi