歳をここまで重ねると一年なんてアッと言う間に過ぎていく
そんな流れでも楽しみは毎度の月ヶ瀬だ
先週の土曜日だが、やはりバイクは少ない
当然だが
ライダーも少ないそして明くる日の日曜も意外と晴れだった
自身は雨と思っていたので依頼されていた仕事か?
その作業の予定を入れていた
その仕事とはT-PADDOCK630には「らしからぬバイク」の作業だ
前回にアップした1995年発売のHONDAのマグナ50だ既に30年近い時が過ぎたマグナのカスタム依頼だ
このマグナのハンドルを更に長くする「イージーライダー風にして欲しい」という
そのパーツ類は「全部、手配しますので・・・」という事だったので引き受けたが・・・
それが思ってたほど楽勝ではなかった
作業は単にハンドルアップに伴うFディスクのブレーキホース、クラッチワイヤー、アクセルワイヤー等を交換するだけ
先ずFブレーキホースだが、そのリザーバータンクを開けると赤茶色に濁ったBフルード
「ううーー、何年替えてないねん!?」と、思う濁り様この瞬間から旧車のレストア作業に近い感覚になってきた
今までのT-PADDOCK630にあった1970年前後のバイク達はマジの旧車だった
その旧車達は何年も放置されていたバイクが多い
その旧車本体から各部までを現役時の状態に戻す作業を熟してきた感覚が蘇ったという事だ
赤茶色に濁ったBフルードを見た時「ちゃんと抜き替えられるのかぁ?」と嫌な予感がした
案の定、完全に抜き替えられるまで相当な時間を要したが一応、ホース内は透明色になった
だが、ここでパーツの発注を人任せ(依頼主)にしたことで少々遠回りの事態が発生
同、上画像に写る新品のアクセルワイヤー等は一度返品をし、新たに手当てしたワイヤーだ
それはワイヤーのキャブ側の細く小さいタイコが、グリップ側と同じ大きさでキャブのスロットルバルブにハメられない
続いてクラッチワイヤー
このクラッチワイヤーも不具合があって、即返品&交換!それはチューブに対して中身のワイヤーが若干長過ぎ、アジャスターを目一杯に調整しても張った感覚がなくグリップにレバーが当たってしまう状態だった
だが2本の交換ワイヤーを依頼主は直ぐに手配したのには少々ビックリだった
そのパーツを発注してくれた依頼主は「セイビのセ」も解っていないので仕方なかった
しかし、発注するフットワークは抜群でアッと言う間に代替ワイヤーは届いた
後ほど、この依頼主の人物像の一端を紹介するが「こんな25歳もおるのか!?」なのだ
ここで作業途中だがイージーライダーマグナになった雰囲気を見る
上画像の状態にするには元々のフロントフォークに約150mmほどのジョイントフォークを連結し、そこからステアリングステムをトップブリッジが収まるところまで上げていく書けば簡単に聞こえるだろうが、ステムは固着して当初はウンともスンともな状態だった
この作業が一番大変だったがフロントフォークが長くなると原チャでもイージーライダーだ
真横から見ると
こんな感じだが、両腕は相当上げなければグリップに届かないまぁ、そんな心配しても人様のバイクだ
続いて
メーターのポジションをどこにするか各ワイヤー類はアップハン仕様があったがメーターケーブルのアップハン用は無かった
仕方なくノーマルケーブルを使うがフロントフォークが伸びた為、パツパツに張った感じだ
よってパツパツを回避するため極力、最短の取り回しラインで装着した
元々の位置からSメーターギアのワイヤー取出し口が上向きになる様に回転させ、メーターまでのゆとりを稼いだそして最終作業は左右ハンドルにある電装スイッチの配線類をジョイント用配線と繋いで終了
これで一通りの作業は終わったが、あとは微調整と各部の点検
早速、キャブレターにあるガスホースに問題ガスコックをONにするとキャブに着けるホース先端から微妙なガソリンが漏れている
元々着いていた透明なホースはパキパキに硬くなったもの
よくもまぁ、こんなになるまで使っていたとは・・・
早速、画像のようなGAS専用ホースに換え、クリップで留める
と、旧車あるあるよりも酷い乗り方をされていたマグナだった
このマグナは友人から貰ったばかりで、どういう乗り方をしていたかは不明と言う
その依頼主は
近所に住む25歳のHa〇君だ当初、依頼に来た時は「破れた仕様のGパン」に合わせたカジュアルだった
だが当日は今、流行りの?女性風カジュアル?とでも言えような出で立ち
レースのシャツジャケットに、ゆったりしたフレアパンツのブラックテイスト
足元は先が少し尖ったヒョウ柄で踵が、やや低めのヒールを履く
この姿を普通のバイク屋のオヤジが見たら唖然とするだろうが、自身は元々アパレル稼業
だが、さすがに自身も引退して10年になると、けっして平然を装えず笑うしかなかった
そしてパーツを届けてくれた作業休憩の合い間、お茶をしながら「人となり」を聞いてみた
とある所から名古屋に出て数年、さらに市場が大きな大阪に来て1年と言う
今は介護関係?だったか、僅か1年で社員を雇い衣料品を納める仕事をメインに行っているらしい
そして数年内で旧車のアメ車を販売する会社を立ち上げたいという
自身は「へ~、すごいやん!」と言いながら、整備はどうするのか疑問に思って聞いた
すると「もう既にクルマの1級整備士は見つけてます」という
さらに聞くと「今、持ってるサバーバンの整備をしてもらってます」
「そのサバーバンが仕上がったら開業予定で、その整備士もスカウト予定です」と言うではないか
そのサバーバンとはGMシボレーのサバーバンのクルマを指す
上の画像は自身が東生駒に住んでいた頃、新車で購入し2000年過ぎ迄の5年間ほど乗っていた「タホ」だこのタホは2ドアで5700㏄の大排気量車だが、その同じ顔を持つ4ドアのロングボディがサバーバンなのだ
しかし25歳ながらすでに衣料品関係の会社も経営し、さらに今後、クルマ屋も起業すると言うも、その資金の目処は立っているとか・・・
そこで自身は質問を投げてみた
「資金繰りとかの財務計画は作ってるんか?」
「はい!ちゃんと作ってます」と、平然と言ってのける
さらに以前には大失敗の経験もしていると、笑いながらサラッと言う雰囲気には、どこか余裕の感があった
そんな彼も自身から見れば孫に近い年頃の人間だ
「時代だねぇ~」と関心しきりだった
そしてマグナのパーツを持って来てくれた時の乗り物は・・・
また、なんとアルファードではないか!?このアルファードに先出のファッションで乗ってたらホ〇ト〇ラ〇の・・・に見えるだろう
自身は古いのか、25歳で女の子みたいな雰囲気の子が乗るクルマやないと思うが・・・
どちらにしても反比例なのか、その行動力にはビックリするしかなかった
そして依頼主は律儀にウィンドを開け「失礼します」と、その日は帰って行った
何度も記すが、今回のお客様は25歳の若造だ
ひょっとしたら上述の聞かされた話は、全くの出まかせの作り話かもしれない
だが自身は若造のファッションはともかく、聞かされたビジネスの話しはマジな事として受け止めた
それ故、アパレルもクルマ屋も是非、大きく成功させて欲しいと思っている
成功のキーは・・・
「人は見たことがないモノには感動できない!」
とある名経営者の格言だ
T-PADDOCK630 T/Tatsumi