2023年11月16日木曜日

『Bike in the sky』#362 残されたバイクライフ

先週は「NSUにまたもや厄介なトラブルが・・・」で終わった

だが、別には手を付けたまま作業を止めているモノもある
CB77のレース用のキャブレターだ

ほぼ同調のセッティングは取れたと思っている

だが、アイドリング回転数を2000rpmで止めたいところで「四苦八苦の手こずり」となり、そのまま放置していた

幾度となく記載しているが、そもそもこのキャブレターにはアイドル調整用のスクリューはない

あるのはスロットルリンクにあるストッパーのみ
画像中央の6mm径ボルトを左右に回して2000rpmを探る

2000rpmに落ち着いた位置で同画像のロックナットを締めアイドリングを安定させる

この作業で以前では難なくアイドル状態はキープできていたのだが、今回は全くもってキープできない

決まったと思ってロックナットを締めにかかると突然、3~4000rpmになったり

また同様に決まったと思った瞬間、今度はエンジンが止まりそうになったりと・・・

そんな事情でCBは、しばらくソッとしておくことにした

原因の追究では古いバイク業界(あえて「旧車業界」は使わない)の格言で「触った所を疑え!」と昔から耳にしていた

このCBで今回、他に触った所と言えば残るのはスロットルのワイヤーぐらいしか思い当たらない

だが、それも確証を得ているわけでもない

そんな理由で、もっと頭をクリーンな状態にしてから改めて検討してみる

そして先週からのNSUの、その続報だ
リアタイヤが外され、リムだけのままスタンドに乗っている

スタンドに乗せたが、問題が起きたのは
リア・リムのインナー1本が根っこから折れていたのだ

上の画像中央に映るIN側のスポークだが、この画像は交換済の状態だ

最近ではRT-1でも同じくリアのスポークが折れ、それもまた同じくインナースポークだった

RT-1の時はRT/DT用としてネットで簡単に見つけることはできた

だが凡そ70年前製造のNSUでは、なかなか・・・と言うより全く出てくることは無い

おまけに、このNSUには相当古いと思われるアルミリムが使われている

インチサイズは前がイタリア製、後ろがイギリス製で共に18インチ

この仕様は当時のHONDAがリンクサス等、共に参考にしたとされているのでCB77も同サイズだ

ただ当方のNSUは前後のメーカーが伊製と英製に別れている

前所有者がレースに参戦する為、間に合わせで履かせたと思われるが・・・

このNSUを見つけたのは今から約40年以上も前の話だ

その更に以前からレース車上りとして不動状態のまま某ショップに飾られていた経緯がある

だとすると50年ほど以前のリムとなるとスポークは・・・

結局、スポークは根っこの曲がり角とドラムの穴角とのマッチングが重要なのだ

よってスポークを探すにしても各角度が何度なのかを特定しなければならない

一応、CB72用でスポークの検索をかけると、さすがにCBは現存のタマ数が多い事から心配の種は消えた

だが、相当古びたアルミ製のリムとなると互換性があるのかは疑わしい

よって、RT-1用で使った前後フルセットのスポークの新品がストックにある
画像の上がNSUに着いていたスポークで下がRT-1用新品のイン側スポーク

見た目で長さが全く違う

だが知りたいのはドラムにハマる側の根っこの角度なのだ

早速、NSUのドラムに差し込んでみた

と、簡単に「差し込んで・・・」としているが、その為には折損箇所の前後や場合によっては反対方向のスポークのニップルを緩めるか、外さなければならない

それらの作業が終わったのが2枚上の交換済み画像でドンピシャだ

角度は良しだが次の問題は長さとスポークの太さだ

先ず長さは、かなり問題なのだが約10mm近くカットしないと、そのままではチューブを破いてしまう

よってカットすれば済む話だが、それではスポークのネジ山数が少々少ない

であればダイスでネジ山を切れば良いのだが、このサイズのダイスは流石に同サイズはなかった

ここはダメ元で同サイズのナットをダイス替わりに使ってみた

これが意外と活けたではないか!?

そうこうしてリムに新スポークを着けたが、どうしても解決しなかったのがリムにハメるニップルだ

これは、そのままスポークと同様にRT-1用使うことにした
画像、真ん中のスポークのリム側にあるニップル

他の周りのニップルより若干、ネジ部が長いのが分かる

まぁ今後、そのままにしておくのか、少々考える必要はありそうだ

そして次は、ついでに久々のNSUの不定期点検
不定期点検であっても、たまには点検をしないと70年前のバイクは予断を許さない

早速の点検は先ず、レーサーには欠かせないオイルキャッチャーの廃油の処理
オイルキャッチタンクはシート下に設置

そしてドレンボルトが下になる様に設置している
このNSUの購入当初にあったオイルキャッチタンクは何用かは不明だったが、機能的でなくブローバイガスやクランク内の圧力も上手く逃がせているとは言い難かった

よって、自身の手元に来てから容量も見直し既設のキャッチャーより大きいモノをつけた

それでも、さほど廃油は溜まっていないだろうと思っていたが
この計量カップでは目盛の150mlまでの廃油が溜まっていた

これはクランク内のオイル量が多いのか、またクランク内の圧力が思っている以上にやや高いのか・・・

オイル量に関しては文献に「3.5Pints」とあった

1Pint(1パイント)=0.473Lなので3.5Pintsは1.65Lとなるので、ここはクリアしている

そして他の点検に掃除も兼ねて手を入れて行く

すると・・・

「え~!」

「次はここかぁ?」
NSUのガスタンクを車体に止める前方右側のステー?と言えるのか・・・

そいつの根元がポッキリと折れていた

これで年内のNSUの乗り出しは消滅してしまった

まぁ、どちらにしても冬場のNSUはキャブがアイシングを起こして走れない

よって春までに修復できれば幸いだが、折角なので左右ともにアルミの中でも強度が高い材質のステーに変更をしよう

こんな時こそT-PADDOCK630三重支局の出番だ

今回、不定期点検をやって良かった

この点検でトラブルが3か所も見つかったのは、ちょっと問題としなければならないが・・・

そして話は変わるが、ちょっと淋しい事が近所のタイヤ屋さんであった

それはT-PADDOCK630ではクルマのタイヤ交換やバイクの廃タイヤ処理で助かっていた

そこが廃業されることになった

ちょっと残念な思いをしていた時に電話が入った

「店仕舞いで片付けしてるから欲しいモンあったら取りに来てください」と・・・

早速、伺ったが流石にブツはタイヤさんだけに大物ばかり

だが、小物で「あってもいいかな」と思えるのは頂いてきた
4点ほどの小物は頂いてきた

その中で特に重宝しそうなものが
超強力な磁力を持つライトスタンドだ

こういう便利ツールはいくらあっても困ることはない

このライトスタンドは
パーツ洗浄機の照明には以前使っていたお手製照明より格段、機能的になった

ありがたく使わせて頂くとしよう

だがT-PADDOCK630も、あと数年、もう少し正確に言えば3年少々だろうか

閉店を余儀なくされることになると自身は思っている

そこには「バイクから、いつ降りるのか」という葛藤がある

誰しも望む望まないに関わらず加齢とともに、いつかは降りなくてはならない

「さぁ~て・・・残るバイクライフ!どう楽しもうか!」

T-PADDOCK630 T/Tatsumi

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