それは、人それぞれに色々あると思う
一般的には、先ず「乗って爽快感を味わえること」が筆頭に来ると思われる
次には、各々の「ガレージで愛機を眺めて悦に浸る」なんてこともあるだろう
その内、自らのバイクの「メンテに手を染めるとセッティングまで」をやってみたくなる
挙句に「プロ顔負けの知識と技術まで身につける」と、これは中毒の域にまで達する
流石に自身は中毒の域ではないが「ヘッポコ整備の域」には、入っていると思われる
だが、そのヘッポコレベルで、ここ数週間に渡って綴っているW1Sのエンジン腰上作業
先ず、画像の腰上作業でいろいろ問題のあったバルブガイドに取り付けられたステムシール
このシールが紆余曲折を経て再度届いてから作業は一気に進むはずだった・・・が・・・
まずステムシールが届いたので次の作業はシリンダー上部にバルブの組込み
シールが届くまでの間、バラしたバルブと付属パーツの清掃は済ませておいた20年振りか、それ以上での出番だったが試してみると、タコ棒の先の吸盤状のゴムは劣化して使えないではないか
そこで一先ずバルブシートに練り状のワックスを薄く塗付し、擦り合わせはできないがバルブにタコ棒を当てながら、ゆっくりタコ棒を回転させシート面との当たりを確認することにした
結果は4本とも、ほぼシート全面に当たっていたのでクリア(ちょっと怪しいが・・・)
そしてバルブセットをシリンダー上部に組み込んでいく
続いてシリンダーとの合わせ面に隙間がないかキチっと確認する
確認後、そこからは各ボルトで締め付ける
先ず
エンジンセンターに位置した内部を貫通するボルトがあるこのボルトは文献によると振動で緩みやすい為「弛み止め剤を塗布しろ」とあった
「弛み止めを塗布しろ」としても、その溶剤の強度が分からないまたT-PADDOCK630には上画像の「中強度用」しか持ち合せがなかったので、これで挑む
そしてシリンダーヘッド全てのボルトを対角線状に仮締めで締めこむ
ここで冒頭の「整備もできるとバイクライフは中毒の域に入り・・・」楽しくなる?いや、W1はけっして楽しくなるとは思えなかった
このW1は1964,5年頃のメグロ製500ccのスタミナK2がベース車でカワサキに吸収されてから624ccにボアアップされた経緯がある
そんな時代の背景があることからエンジンは原始的な?OHV
いわゆるバルブを上下に開閉運動させるカムシャフトがエンジン下側のクランクケース内にあるタイプだ
そのカムシャフトの回転運動を上下運動に換え、ロッカーアームを介してバルブを開閉させるパーツが上画像の「プッシュロッド」と言われる棒状のパーツ
OHVであっても1960年前後はHONDAを除いて、ほとんどのメーカーは2サイクル車が大半だった
そんな中でOHVと言えども4サイクルのメグロ社は当時には時代を先んじていたと言えよう
ただ「屁理屈」を言えば、OHCと言われるメカニズムもバルブはシリンダーの上にあって「OHVだ」と高校生時の昔から疑問に思っていた
よって当時はOHCのことを「OHCVに呼び直すべきだ!」とバカなことを言っていた
話が逸れついでにOHVを語れば、彼の地アメリカの「クルマ通」は
「おまえのエンジンのタイプは?」と聞かれるとOHVとは言わず
「俺のはプッシュロッドだぜ!」と自慢げに語るらしい
よってアメリカの通は未だにOHV信奉者は多いと聞く
そこには映画、音楽などと同等のフィーリング重視のアメリカらしさが漂う
そんなT-PADDOCK630も自身がアメリカ好きなことで70年代のアメリカンガレージを真似ている・・・
あくまで「つもり・・・」だが
ちょっと自慢で恐縮だが自身はアメリカ好きが高じて2006年ニューヨーク、2007年ビバリーヒルズにコドモ服の店を出店している
アメリカ人は流行には、さほど拘らずフィーリングでモノを買う感覚があるように感じた
それは見事に読み通りで、誰もが知るアメリカのスターが多数、顧客に名を連ねた
まぁそんな話はどうでもいいことだが本題は・・・
上の図にある4本のプッシュロッドをロッド上側先端の相手にあるシリンダーヘッドに組まれたロッカーアームの「えくぼ」にハメることなのだ
この4本のプッシュロッドはカムシャフト側の「えくぼ」には簡単にハメられるがプッシュロッドは4本ともグラグラで、それぞれがすぐに不均等になってしまう
よって、ロッカーアームがセットされているヘッドカバーをよほど慎重にプッシュロッドの頭に被せないと「上側えくぼ」にはハメられない
何度も試して作業をしてみたが・・・
3本はなんとかロッカーアーム側えくぼにハメられても1本が外れてしまうと、またいちからやり直し
やり直しても2本はハマっても他の2本はハマっているロッドの陰に隠れたりと・・・
そこで「この作業は大変苦労するで!」と助言してくれた2〇さんから「櫛(クシ)」というSST(特工)をお借りしていた
ステンレス材と思われる金属にU字型の溝があるその溝をプッシュロッドに当てがいロッドがバラバラにならないようにするSSTだ
画像のようにバラつかないがヘッドカバーを着けようとした瞬間、何かにあたると先端は違うところを向いていたり・・・と、何度も何度もやり直しをしなければならなかった
これでは精神的に良くない
この作業は、本来ならエンジンをフレームから下ろして行えばエンジンの上が何もないので比較的、容易にヘッドカバーは装着できたと思われる
だが、ここでエンジンを下ろしてまでとは考えられない
いかにフレームに乗ったままでスムーズにプッシュロッドを上側えくぼにハメられるか
思いついた!
櫛ツールの両端を紐で縛り、縦横方向に逃げる動きを封じたすると
2,3度は失敗したが紐無しの時より格段に作業性は上がったこの裏技でなんとかロッカーカバーはハメることができた
それでも紐無し状態も含め、相当な時間を費やしてしまった
これがW1の作業は「楽しいとは言えない」所以であろう
とは言っても組み終えると手こずった分、遣り甲斐は感じることはできた
所詮、趣味の世界の話だ
そんなこんなの一週間だったが、自身には悲しいことが起きていた
自身の実の兄が先日76歳で、この世を去った
両親も既に亡くなって久しいが、両親以上に悲しみは堪えない
兄は若い頃から病弱だった所為で仕事にも、まともにつけずいたが枚方で新築の家を建てた
また若い頃には勉強の機会も得られなかったことで60歳頃だったろうか、一念発起して大学を卒業した
そして自身が小学生、中学生の時には不良達から三度も絡まれた時があった
その時、不思議なことに月光仮面のように現れて自身を救ってくれた思い出は今でも鮮明に覚えている
そんな兄がやっと病から解放され楽になったかと思う反面、やはり淋しいと同時に涙が止まらなかった
いつかは「死」は誰にでも訪れることだ
世間では「なんで俺が・・・なんで私が・・・」と悲観し死を選択する人がいる
兄の言葉を借りれば「生きていれば何とかなるって!」
自身の余生は兄の分まで「精一杯、生きる」の境地で残された人生を楽しみたい
T-PADDOCK630 T/Tatsumi
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